「腰が抜ける」感じ

「腰が抜けそうになる」「腰に力が入らない」と感じたことはありませんか?
急に立ち上がったり、ものを持ち上げようとしたときなどに、痛くはないけど腰が頼りなくなる感覚。
これは多くの40代以降の方が経験します。病的な変性が関係している場合もありますが、体の使い方やバランスの崩れによっても起こります。

原因はバランスの崩れかも?

腰が抜ける感じがしても、必ずしもヘルニアや狭窄といった病気があるとは限りません。
実は、筋肉や関節、神経など腰を支える仕組みのバランスが崩れていることも多いのです。主な原因は次の3つです。

・椎間板(腰のクッション)の変化
年齢とともに椎間板の水分が減ると、腰の動きに「ゆるみ」や「不安定さ」が出てくることがあります。
このわずかなグラつきが、「抜けそう」「支えがきかない」感じにつながります。
・体幹を支える筋肉の弱まり
腰の奥にある腹横筋(ふくおうきん)や多裂筋(たれつきん)は、背骨を安定させる重要な筋肉です。
長時間のデスクワークや運動不足、出産などでこれらが弱ると、腰をしっかり支えられなくなります。
・神経と筋肉の協調性の乱れ
痛みや疲労、姿勢のクセなどによって神経と筋肉の協調性が乱れると、体が「どう動けば安定するのか」
一瞬判断できなくなる場合があります。

対策と改善のポイント

・腹横筋、多裂筋を鍛える
ドローイン(お腹を軽くへこませたまま呼吸するトレーニング)や四つ這いでのエクササイズ(バードドッグ)がおすすめです。
ちなみにドローインは「ひっこめる」ことで、バードドッグは「鳥猟犬」のことです。
私も見たことはありませんが鳥猟犬は狩のとき前足と後足をあげてこんなポーズをするそうです。
・股関節・骨盤まわりを柔らかくする
腰だけで支えず、体全体で動けるように腰やお尻周りの筋肉をストレッチしましょう。
・痛みを怖がりすぎない
「動かすと痛いから…」と休みすぎると、筋肉や感覚が鈍り、かえって不安定になります。
安全な範囲で少しずつ動かすことが回復のカギです。

こんな症状があるときは病院へ!

「腰が抜ける感じ」は多くの場合、筋肉や関節のバランスの問題で起こりますが、
まれに神経や内臓の病気が関係していることもあります。
次のような症状があるときは、整形外科などの医療機関での検査をおすすめします。

足にしびれ力の入りにくさがある
 → 椎間板ヘルニアなどにより坐骨神経が圧迫されている可能性も。
排尿・排便の感覚が鈍い、またはコントロールしにくい
 → 神経の障害(馬尾症候群など)のサインのことも。
・夜も眠れないような強い腰痛が続く
 → 炎症や腫瘍、感染などの可能性も。
が出ている、急激に体重が減った
 → 内科的な原因(腎臓・膵臓・婦人科疾患など)も考えられます。
転倒や事故のあとに痛みが出た
 → 骨折や靭帯損傷の恐れもあるので、まずは画像検査を。

びっくりして腰が抜けるのは?

「びっくりして腰が抜けた」という表現もよく聞きますが、これは今回のお話とはまた別。
この場合、筋肉や骨のトラブルではなく、神経の反射的な反応と考えられます。
人は大きな音や強い刺激を受けると、体が一瞬「守りの姿勢」をとりギュッとすくみます。
このとき、腰や足を支える筋肉の働きが一瞬だけストップし、体を支えきれず「抜けたように感じる」のです。
これは驚いた瞬間に脳が姿勢のコントロールをリセットしてしまう、ごく自然な反応。
一瞬で元に戻るようなら心配はいりませんが、頻繁に起こったり、実際に転んでしまうようなら、神経や血圧の異常が関係していることもあるので、医療機関に相談しましょう。

おわりに

腰が抜けるように感じるのは、「筋力の低下」だけというよりも支える仕組みのチームワークの乱れが原因のことが多いのです。
正しいトレーニングと姿勢の改善で、安定感を取り戻す方もいます。
気になる方は、お気軽にご相談ください。