健康コラム・肩こりに効くストレッチ

首の付け根から肩にかけて、また背中の方まで痛みや重だるさがある…そんな「肩こり」に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
今回は肩こりの改善・予防に役立つストレッチを紹介します。

肩こりってなに?

肩こりの「こり」は「凝り」のことで、筋肉が張って固くなることです。「肩」とは言うものの肩関節だけではなく首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけての広い範囲で痛い・重いなどの不快な感じを肩こりと言います。人によっては「首こり」「背中のこり」などと訴えることもあります。
専門的には「僧帽筋を中心とした肩甲帯筋群のうっ血・浮腫により生じた同部のこり、はり、こわばり、重圧感、痛みなどの総称」と表現できます。総称とあるとおり、肩こりはあくまで「症状」であり病気の名前ではありません。多くの場合は日常の姿勢や動作による筋肉の緊張によっておこりますが、内科的疾患(心筋梗塞など)や整形外科的疾患(変形性頚椎症など)の症状のひとつとしてもあらわれ、また精神的な緊張やストレスとも関わりがあります。他にも症状がありなかなか改善しない場合は専門医を受診することをおすすめします。

なぜ肩こりになるの?

地上で生活している私たちは、常に重力の影響を受けています。
5キログラムほどの頭を支え、それぞれ3キログラム以上ある腕を体に固定するだけでも、首肩まわりの筋肉にはたえず負荷がかかっています。仰向けに寝転がると肩甲骨がすこし動かしやすくなると思いますが、これは体を起こしているときの「肩甲骨を体幹に固定する」仕事から解放されて筋肉が緩んだ状態だからです。体を起こした状態で腕を動かすときは肩甲骨が筋肉で固定されています。
おなじ姿勢を維持し正確な動作をおこなうため筋肉は常に緊張状態になり、血流は悪くなり、硬くなってしまいます。
特別な病気でなくとも、ふつうに生活していても肩こりに悩まされる人が多いのはそのためです。
今回紹介するストレッチはおもに肩甲骨のまわりの筋肉をターゲットにしていますが、首のストレッチもあわせておこなうとさらに効果的です。

ストレッチのやりかた

今回は肩甲骨の動きや固定にかかわる筋肉をストレッチする簡単な方法を紹介します。
1.肩甲骨の内側から背骨についていて肩甲骨同士を引きよせる菱形筋
両手を思い切り前に伸ばし、背中を丸めることで背骨を後方に引く
2.肩甲骨の前側から肋骨についていて肩甲骨を押し出す前鋸筋
胸を張って腕を後ろに引き、左右の肩甲骨を思い切り引き寄せる
3.肩甲骨から首の骨についていて首や肩甲骨を動かす肩甲挙筋
伸ばしたい側の反対に振り向き、手を使って頭を斜め前に引く(厳密には回旋し、側屈し、前方に倒す)
肩甲骨と頭を遠ざける動きなので、体を曲げて肩甲骨がついていかないように気をつけましょう。座っておこないイスをつかむ、ズボンをつかむ、腕を背中側に回すなどの方法で肩甲骨を動かないように固定します。

それぞれ20~30秒を3セットほど息を止めずにじっくりおこないましょう。

まとめ

・肩こりとは首から肩、背中の筋肉が硬く張って出る痛みや重さの総称
・頭を支え肩甲骨を固定する筋肉はつねに緊張して硬くなりやすい
・肩甲骨を後ろに引く菱形筋、前に押し出す前鋸筋、上にあげたり首の動きにも関わる肩甲挙筋をストレッチする
・20~30秒を3セットほど、息を止めずにじっくりおこなう


肩こりに関係する筋肉はたくさんありますが、今回紹介したのはおもに肩甲骨を支えて頑張り続けている筋肉のストレッチです。
他にも首や背中、肩甲骨の外側についている筋肉のストレッチなども重要ですので、機会を改めて紹介したいと思います。
硬くなった筋肉を伸ばすのも有効ですが、なるべく同じ姿勢で長時間活動することを避けて定期的に体を動かすことも肩こりの予防にはたいせつです。