腸腰筋をストレッチ

先日、腰と股関節の痛みを訴える方が来院されました。
関節の変形など病的な原因がある場合は専門の医療機関を受診するべきですが、調べても大きな異常が発見されない場合もあります。そんなときは股関節周辺の筋肉が硬く縮まっていることが原因かもしれません。
今回は股関節前面の痛みとも関連する腸腰筋のストレッチを紹介します。

腸腰筋とは

腸腰筋は、腸骨筋と大腰筋という2つの筋肉が組み合わさったものです。
腰や骨盤から大腿骨に付いているので、脚を持ち上げて胸に近づけるときや体を前に折り曲げるときにはたらきます。また腰や骨盤の安定にも関わり、姿勢にもおおきく影響します。
椅子に長時間座っている人はこの筋肉が常に縮まっていて「筋肉の短縮」を起こすことがあります。短縮して柔軟性がなくなった腸腰筋は腰椎を前に強く引っ張り骨盤を前傾させ、大きく腰が反った姿勢ををつくり腰痛の原因にもなります。
腰椎や骨盤を前からひっぱるはたらき自体は重要なものですが、筋肉が短縮していると強くひっぱり過ぎて問題を起こすことがあるのですね。

ストレッチのやりかた

スタンダードな伸ばしかたを説明します。
1.脚を前後に開き、後ろ脚の膝を床につける。前足の膝は立てて両手をおき胸を張る
2.胸を張ったまま、腰を前に突き出すようにして太ももの付け根を伸ばしていく
3.20秒~30秒この姿勢を維持する。呼吸は止めない
できればこれを3セットおこなってみましょう。

このとき脚をあまり大きく開かないように気をつけます。脚をおもいきり後ろに持ってくると股関節前面が引き伸ばされる感じがしますが、それよりも腰を押し出すようにして脚の付け根を伸ばしたほうが効果的です。この「腰を押し出す」動きは骨盤を後傾させる動きです。腰を反らすのではなく、お尻の筋肉を使います。
わかりにくい場合は立ち上がって腰に手を当て、まずはお尻だけをうしろに突き出してみてください。これが骨盤の前傾。今度は反対に腰を前にグッと突き出す。これが骨盤の後傾で、このときお尻の筋肉に力が入っているのを確認してみてください。
片膝立ちの状態で、うしろに来ている腰を前に突き出すようにすると脚の付け根が伸びる感じがあると思います。
この腰を押し出す動きができるようになったら、膝を後ろに下げず真下に置くコンパクトなフォームでおこなうことをお勧めします。このほうが腸腰筋だけを集中的にストレッチすることができます。
腸腰筋は腰(背骨)にも付いている筋肉なので、背伸びの動きを追加するのもお勧めです。このとき体をひねらないように気を付けて。
膝を床につくのが大変な場合はベッドやイスを使った方法をためしてみてください。これも同じように後ろの腰を押し出すようにします。 

まとめ

・腸腰筋は腰や骨盤と脚をつなぐ筋肉で、脚を持ち上げる動きや骨盤の安定にはたらく
・腰と脚が近づく動きで縮むので、座っている姿勢が多いと短縮して腰痛の原因にもなる
・腸腰筋のストレッチは腰を押し出す動きが大切