むくみ

長い時間立ち仕事をしていると、足が腫れて重だるくなる。
飲み会の後は顔や手足が腫れぼったくなる。
そんな「むくみ」を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。
今回はむくみについてのお話です。

むくみってなに?

むくみは医学的には浮腫(ふしゅ)と呼ばれ、細胞皮膚の下にある皮下組織に過剰な水分が溜まった状態をいいます。細胞と細胞のあいだを満たす水分が過剰に増えた状態とも言えます。以下の文では血液の話をしているところもありますが、血液をひっくるめた「細胞の外にある水分」だと思ってください。
私たちの体には水分量を調節する仕組みがそなわっているので、健康なときには余分な水分は尿として体外に排泄されますが、それがうまく行われないときにむくみが起こります。
強いむくみは病気が原因でおこりますが、生活習慣によって一時的に軽度のむくみが出ることもあります。
ここでは身近な足のむくみにを中心に解説します。

むくみはなぜおこるの?

私たちの体には心臓という大きなポンプがそなわっています。
心臓から送り出された血液は全身の細胞へ酸素や栄養を届け、細胞から排出された二酸化炭素や老廃物を回収して心臓に戻ります。心臓から遠い足から戻ってくる血液は、重力にさからい上っていくため大変です。4本足で歩く動物は心臓と足先の距離がそう遠くないのですが、彼らと比べると立ち上がって歩く人間は足から心臓までがかなり遠いですよね。
心臓だけでは足りないのでふくらはぎの筋肉がポンプのはたらきをして血液を心臓に押し戻すのですが、これがうまくいかないと足の血液が滞ります。水分の取入れと排出のバランスがくずれた時むくみは起こるため、足に水分(血液)が溜まり過ぎて一時的に足がむくむことが多いのです。
長時間の立ち仕事やデスクワーク、運動不足や老化による筋力の低下によるむくみはこのような事情によるものです。
お酒をのんだ後にむくみを経験する方も多いですが、アルコールには血管内を脱水する作用があるため失われたぶんを取り返そうと細胞内に水分を取り込み、むくみが発生します。
似た理由で、塩分を取り過ぎや水分不足でむくみが出る場合もあります。

一方、病的なむくみは血液を送り出す心臓や、水分を排出する仕組みに関わる腎臓に問題があると発生します。血管の水分量を調整するたんぱく質をつくる肝臓の機能低下や、血液とおなじように全身をめぐるリンパ液の流れが滞る場合もあります。
いずれにしても病的なものはセルフケアでの改善は難しく、治療が必要なものだと覚えておいてください。

こんなむくみには注意

むくみは心臓や腎臓、肝臓の病気、血管の障害や薬の作用などによってもおこります。
病気が原因の場合は医療機関を受診する必要があります。

・むくみ以外にも症状がある(息苦しさ、発熱など)
・1~2日たっても改善しない、悪化している
・足のむくみの場合、左右で極端に太さが違う
・ふだんどおりの生活で尿の量が減る
・短期間で体重が急激に増加

これらは病的なむくみの一例ですが、自分で判断するのは難しいので、何か気になることがある場合はかかりつけ医などに相談しましょう。

むくみ対策の方法

おなじ姿勢を長時間とらない…そもそも足に血液が溜まり過ぎない環境づくり
適度な運動をする…血液を押し上げる筋肉を活性化させましょう
マッサージやストレッチ…血行をよくすることで還流を促しましょう
お酒を飲み過ぎない…アルコールの脱水作用でむくみやすくなります
塩分をとり過ぎない…塩分も体内の水分バランスが崩れます
水分の取り方に注意…水を飲み過ぎるのも飲まなすぎるのもよくない
寝るときに足を高くする…血液が心臓にかえりやすくする
着圧ソックスや弾性ストッキングを試す…効果的に使用できるように説明をよく読みましょう

などがあります。

まとめ

・むくみ(浮腫ふしゅ)とは、皮膚の下にある皮下組織に過剰な水分が溜まった状態
・体内の水分の取入れと排出のしくみが崩れると起こる
・一時的な軽いものと病気が原因のものがある
・下に溜まりがちな水分を心臓に戻しやすくしよう