健康コラム・膝の水について

「膝に水が溜まる」という言葉を聞いたことがないでしょうか。
「膝の水を抜くとクセになる」と聞いた方もいるかもしれません。
それは本当なのか。そもそも水って何なのか。
今回はそんなお話です。

膝の水ってなに?

ここでいう膝の「水」とは「関節液」(滑液)のことです。
膝の関節全体は関節包という袋のような膜に包まれていて、中はこの粘りのある液体で満たされています。
この液体は関節の動きをスムーズにし関節にかかる圧力を分散する潤滑油の役割を担い、また関節軟骨に栄養をとどけ老廃物を運搬するはたらきもあります。
関節液は滑膜という場所でつくられ、吸収されることで一定の量をたもち循環しています。

膝に水がたまるとは?

関節液は関節包の内側にある滑膜というところでつくられ、古いものが吸収されることで一定の量をたもち循環しています。通常は1~3mL程度の関節液が関節のなかを満たしていますが、分泌と吸収のバランスがくずれると20~30mLほどにまで増えてしまいます。滑膜の炎症などによって増えた液の吸収が追い付かず溜まってしまうのです。これが「膝に水がたまった」状態で、関節水腫といいます。
炎症の原因は膝の軟骨がすり減って骨が変形する変形性膝関節症が多く、関節リウマチ通風などほかの病気によることもあります。また膝の中の靭帯や半月板を損傷しても炎症はおこるので、若い人もはげしい運動で膝を痛めた時に水がたまることはあります。

膝の水を抜くとクセになる?

「水を抜くとクセになる」と考えて病院に行くのを嫌がる方もいます。
実際は「炎症があると水を抜いてもまた溜まる場合がある」のであって「水を抜いたから溜まりグセがつく」わけではありません。
たまった膝の水を抜くのは、おもに関節液の内容を調べるためと水腫による悪化を防ぐためです。
関節液に血が混じってる、色が濁ってるなどの情報は原因の特定につながります。
水腫で内圧が高まり膝が曲げにくい、痛みが増す、神経のはたらきが抑制されて筋力が低下するなどの問題を緩和するために抜くこともあるでしょう。
いずれにしても水を抜くこと自体が水がたまる原因ということはないので、気になる場合はお医者さんに相談してみることをおすすめします。

まとめ

・膝の「水」とは関節液のことで、関節の動きをなめらかにする潤滑油であり栄養供給もする
・「水がたまる」とは炎症などで増加した関節液に吸収が追い付かず溜まった状態。関節水腫
・膝の炎症は変形性関節症やリウマチなどの病気、またケガによっておこる
・炎症があると抜いても水が再びたまるが「抜いたからクセになった」わけではない
・水を抜くのは内容を調べるためと悪化を防ぐため


膝のトラブルは身近なものですが、水がたまっているか・抜いたほうがいいかの判断は各自でするのは難しいこともあります。気になる方は整形外科のお医者さんに相談してみましょう。
変形性膝関節症によって膝に水がたまった場合、水を抜きながら「体重を減らすように」「ふとももの筋肉を鍛えるように」などと指導されることもあります。膝が痛い人向けのトレーニングやストレッチなども紹介していきたいですね。