座ったままで腰痛対策!

座りっぱなしで腰がつらい

お仕事でデスクワークが多い方に「ずっと机に向かって作業していると腰がつらい。なんとかならないか」と相談されました。
机の高さなど作業環境を適切にすることや長時間おなじ姿勢での作業を避けることはもちろんですが、私は「座ったままでできる腰と骨盤の運動」を紹介しました。それがペルヴィック・ティルト(骨盤を傾ける運動)です。

腰痛に対する理学療法的なアプローチとして、骨盤の前傾と後傾が治療プログラムの一部に取り入れられることがあります。
骨盤の傾きと腰椎(背骨の腰の部分)の動きによって椎間板(腰椎の間にあるクッション)への圧のかかり方が変化します。また、同じ姿勢をキープして血流が悪くなった筋肉を動かす意味もあります。
骨盤の動きを意識するため寝た状態でおこなう方法がよく紹介されますが、座った状態でも積極的に動かすことをおすすめします。

やりかた

この運動は椅子に座ったままの姿勢でおこないます。
骨盤前傾は上体を真っすぐにしたままで骨盤を股関節に対して前方に弧を描くように回旋させる。お尻を後ろに突き出して腰が少し反るような動きになります。無理に腰を反らしすぎないようにしましょう。
骨盤後傾は骨盤を後方に回旋させることで腰椎を屈曲させ後弯を強める。自分のおへそを見るような姿勢で背中を丸めます。
この2つの動きを交互に繰り返しましょう。10回くらいが目安です。
座っていて背中が丸くなってしまう方は骨盤後傾の姿勢が多くなりやすいので、気づいたときにすこし腰を反らして骨盤前傾の姿勢を意識してみましょう。
今回は座ったままおこなう方法を紹介しましたが、立ったままおこなったり横になっておこなう方法もあります。

骨盤は動かない?

「骨盤は動かない」と聞いたことがないでしょうか。
骨盤を構成している寛骨、仙骨、尾骨は靭帯でしっかりと結合しており、ほとんど動きません。仙腸関節というところは少しだけ動きますが1~3ミリというわずかな動きです。
じゃあ骨盤の前傾とか後傾ってどういうこと?と疑問に思う方もいるかもしれません。
ここでいう骨盤の動きとは股関節を軸にした動きです。骨盤は動かず大腿骨が動けば脚が上がります。大腿骨が動かずに筋肉が働けば股関節を軸に骨盤のほうが動くというわけです。つまり結合した骨盤の骨が動かないのとは別の話です。
これらの運動には背骨や骨盤、大腿骨についている筋肉が関与しています。同じ姿勢を維持するには同じ筋肉が緊張し続けることになるため、ときどき動かしてあげましょう。
上でもすこし触れましたが、骨盤と腰椎の位置によって椎間板への圧のかかり方が変わります。骨盤を前傾させ腰椎前弯を増強(腰が反るような形)すれば椎間板が前方に押し出され、後ろ側の神経を圧迫せずに済む…といった具合です。ただしこれを椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等の方が安全におこなうには専門的な知識が必要なので、診断を受けている方やその疑いがある方はかならず専門医に相談してください。どちらかの姿勢で痛みが激しくなるようならやめておきましょう。

まとめ

・長時間おなじ姿勢で作業を続けることはなるべく避ける
・座ったまま骨盤を前傾~後傾する運動を10回ほどおこなう
・骨盤を構成する骨はほとんど動かないが骨盤自体は股関節を軸に動く


座ったまま長時間作業して腰がつらくなることは多くの方が経験しているのではないでしょうか。
作業時間以外に運動することも大切ですが、座っているときも少しずつ腰や骨盤を動かす癖をつけることをおすすめします。